あなたの子どもにとって何が「正常」なのか?
何千人もの親子を診てきた精神科医が、診察室で一番多く親が不安そうに尋ねてきたのは、
「うちの子は正常でしょうか?」
という質問でしょう。
普通このような質問をする親が感じている不安は、子どもが身体の病気にかかった時、医者の診察室で親が抱く不安とはまるで違ったものです。
一般に身体の病気は適切な治療を施せば治すことができるので、親は「客観的に」その病気を受けとめることができます。
ところが子どもが落ち込んだり、動揺したり、自分の殻に閉じこもったり、攻撃的になったり、または、はっきりした原因がつかめない感情的な悩みや混乱を示す時、
身体の病気の場合より親ははるかに不安を感じてしまうことが多いものなのです。
親は子どもが、ましてや自分の子どもが「情緒障害」になるはずはないと思っています。
息子や娘にとって子ども時代は比較的気苦労することなく、幸福で無邪気に過ごせる時期だと思い込もうとしているからです。
ところが精神科に連絡してくる頃には、子どもは既に苦しんでいて、穏やかな子ども時代を過ごしてもらいたいという親の願いはもはや消え失せています。
問題は学業不振、他の子どもと仲良くできないこと、そして親には奇妙で、当惑させられ、「異常」だとも思える子どもの習癖や振る舞いに現れてくるかもしれません。
子どもが、予想や期待通りに対応してくれないので、家族全員が苦しめられる可能性もあります。
「うちの子は正常でしょうか?」
という質問に、私が応えるとすれば、大多数がイエスです。
子どもの抱いている悩みや発育状態が正常なものなのかといったことに対する親の不安は、すべてとはいわないまでも、その多くが根拠のないものです。
どの発育段階においても「正常」といえる範囲にはかなりの幅があるものなのです。
ところが親の深刻で、いつまでも消えない不安が、しばしば自己懐疑から生まれてきます。
自分自身の子育ての認識、素質、才能に、強い不信を抱くことがあまりに多すぎるのです。
多くの親が、セラピストをはじめとする精神医療の専門家の専門知識におびえ、学校で精神病の子どもが他の子どもたちを射殺する事件のニュース報道に震えています
(こうした報道は、誰の援助も受けず親の考えだけで子どもを予測するのは危険であり、結局子どもをもてあましてしまうということをほのめかしています)。
そのため多くの親が、(子どもが生まれてからずっと続いている親子関係に基づいた)自分の考えや思索より、
セラピストの(子どもとほんの数時間の関係にしか基づいていない場合もある)「正式な」診断のほうを尊重しなくてはならないと感じているのです。
専門家の知識が重要ではないとか、さほど必要なものではないとかいっているわけではありません。
専門知識がなければ重要な診断を下し、治療を施すことはできないのですから。
しかし、多くの親は自分のもつ「専門知識」を過小評価してしまうことで、全力で子どもを幸せにすることができなくなっています。
家庭では直接子どもに、また診察室では専門医の、どちらに対しても役に立てなくなるのです。
親は自分で思っているよりはるかに豊富な知識をもっています。
親は診断の専門家に子どもの過去と現在についての重要なデータを提供することができます。
このデータがなければ、専門家といえど何一つ決断は下せないのです。
親が最高のセラピストになることができるのは、自分の子どもに関する情報を誰より豊富にもっているという理由ばかりではありません。
子どもが成長し、幸福になるよう、時間、労力、熱意を子どもにたっぷりと愛情を込めて注いでいるからでもあるのです。
この愛こそ、いかなる外部の「専門家」に望むより、親が効果的に子どもを治療してあげられる力となるのです。
子供の構音障害
そもそも子どもは、どのようにしてことばを獲得していくのか、から説きおこす。
言語学者であり精神分析家でもある著者は、障害の分類、検査と治療方法、治療の原則など、言語発達障害に関わる問題を、独自の視点から紹介する。子どもと向きあうすべての人のための、示唆に富んだ解説書。
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当サイトに取り上げた多くの障害や症状は、普通、子どもが成長すれば治っていくものです。
どの子どもも自分なりのペースで成長していくもので、他の子どもが難なく通過しているように見える様々な点で、つまずいてしまう子どももいます。
とりわけそれは、会話や言語の領域で顕著です。
しかし、ペギーの場合はほうっておいても自然に治るといったケースには当てはまらないでしょう。
ぺギーの舌たらずや言葉の省略が本当に構音(発音)または音韻障害の現れだとするなら、ペギ〆がこの障害に対処するためには専門家に診てもらうことが必要です。
子どものコミュニケーション障害の原因の中でも断然多いのが「構音障害」です。
幼稚園児の20%は構音で何らかの困難を経験しています。
例えば、この障害は「発育上(年齢や方言に)適した会話の音を作り出せないこと」と定義されています。
この障害では、ある音を他の音に置き換えてしまう子どもがいます(本来は「シ」の音を「チ」と発音するというように)。
また、音節を省略したり、言葉の最後をいわなかったり、特定の音をまったく抜かしてしまうこともあります。
乳歯のあるなしにかかわらず、ぺギーのようにずっと舌たらずのままで会話が歪んでしまう子どももいれば、ある単語の音の順序を逆さまにしてしまう子どももいます。
概して、この障害をもつ子どもの多くは、他の同じ年齢の子どもより幼く、社会的にも未熟に見えます。
この障害の診断はほとんど4歳までに下されます。
それはほぼこの年齢までに子どもがあまりつっかえずにしゃべれるようになるからです。
しかし、とりわけこの障害が重かったり、ひどかったりする場合には、もっと早い時期に診断を下すことができます。
構音の問題はほぼ例外なく言語障害に伴って発生しています。
この両者は結びついているといっても差し支えないでしょう。
これがぺギーの母親が専門家に助けを求めるのが賢明であると私が提案するもう一つの理由です。
彼女の娘の会話の障害には、できるだけ早く取り組む必要のある別の障害があることが考えられます。
言語障害と構音障害を区別するのは困難な場合が多いので、この分野の専門家に診断してもらい、適切な治療を示唆してもらう必要があります。
カテゴリー:子供の行動の問題


