アルコール依存症患者の子供
夫への対応チェックリスト、世話やき度チェックテスト、チャンスをつかむ準備度チェックリスト、再飲酒の危険チェックリスト、仕事中毒チェックリスト、「のめり込み」傾向チェックリスト、家族の機能チェックリスト。
まさに必要なポイントが具体的に載っており、「中年男性の飲酒問題と、それに悩む妻」という、もっとも典型的な組み合わせを念頭において書かれている。
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「ビリー、どうして家に呼んでくれないの?
いつも僕の家には来てるのに。
困ることでもあるの?
お母さんが魔女か何かなの?」
ビリーの母親は魔女ではありませんが、ビリーはひそかに母親が魔女のような振る舞いをしているとしばしば感じています。
しかし、彼が友人を家に誘わないのは、
母親がカウチの上で酔いつぶれていたり、
カッとなって足を踏み鳴らしながら歩いたり、
どんな振る舞いをするかまったく見当がつかないためばかりではありません。
家の中はいつも空のグラス、瓶、汚い皿がいたるところにころがって、散らかりすぎているからです。
いつも彼は家を掃除しようとしていますが、またすぐ散らかってしまいます。
いくら掃除をしても結局は元の木阿弥なのです。
最近、アルコール依存症患者の子どもに対する関心がかなり高まり、アルコール依存症の親は、二つの手段で子どもにひどい損害を及ぼす危険性があることが明らかになりました。
それは、母親が飲むアルコールが胎児に及ぼす身体的影響とアルコール依存症の親との生活が子どもの情緒面に及ぼす影響です。
普通、この影響は子どもにひどい損害を及ぼします。
身体的な影響のほうが実験からより証明されていますが、情緒的影響も否定できません。
大人の中の20%もが、成長期にアルコール依存症の親と生活していたことを証明している研究がいくつかあり、
さらに25%の人間が、家族や親しい個人的関係のいずれかで、アルコール依存症の悪影響を受けていることが明らかにされています。
アメリカの成人の約13〜15%は(アルコール依存症でなくても)さけくせ酒癖の悪い人間に分類されるかもしれません。
この数字を見れば、アメリカにアルコール依存症患者の親をもつ子ども(COA)が優に2500万人いるといわれても驚くには当たりません。
少なく見積もっても、その子どもの中の700万人は18歳以下です。
COAがアルコール依存症の悪影響を受けていない子どもより多く、精神科の診療所ばかりでなく一般の病院にも姿を現していることはわかっています。
COAはCOA以外の子どもより高い確率で怪我や中毒に苦しめられ、外来の医療サービスを利用しています。
アルコール依存症患者の子どもであるとするなら、ADD(注意欠陥障害)や学習障害のような行動障害、うつ病、そして何らかの不安などの症状に悩んでいる確率も増加します。
また、頭痛や胃痛などの身体的な問題も起こりやすいのです。
COAは親から性的虐待、身体的虐待、育児放棄を受けるばかりでなく、
認知能力や言語能力の障害、感情表現の困難、学業不振、睦眠障害、適切な判断を推論・活用する能力の欠如に陥る確率ははるかに高くなります。
さらにかんしゃくも平均より起こしやすくなります。
このような不幸な子どもは、絶望感、困惑、依存心、孤立感、他人との違和感を抱きやすくなり、他の子どもの大半がなんとか乗り切ることのできる多くの日常的な課題や義務にきちんと対処することができません。
アルコール依存症患者の子どもは、
「親がアルコール依存症になってしまったのは自分のせいかもしれない」
としばしば感じています。
親は飲酒の状態によって陽気にもなります。
親の心が予測できずにまごついている子どもは、家庭生活の中で多くの矛盾や不安を感じています。
ビリーのように、COAは家庭の問題はばつが碧く、恥ずかしいので、他の誰かに話したり、伝えたりすることができません。
その結果、友人もあまりできないことが多く、友人がいたとしても、自己弁護をしたり、相手に非難を浴びせたりするため、結局、殻に閉じこもるか、攻撃的になってしまいがちです(これは彼らが家庭で学んできた二つの主な反応パターンです)。
明らかに、親がアルコール依存症であるということは、子どもの発育にひどい障害になる危険性があります。
しかし、アルコール依存症患者の子どもがすべて先述した障害、病気、欠陥になるとは限らないことも覚えておくことが重要です。
実際、非常に多くのCOAの立ち直りの早さには驚かされます。
アルコール依存症の親は、まず生物学的に見て、かなりひどい子育てをしています。
アルコールは胎児にも影響を及ぼします。
その最たるものがヘビードリンカーの母親の妊娠中の「胎児アルコール症候群(FAS)」です。
この症候群の子どもには、明確な知的障害は見られませんが、認知能力の発達が多少遅れています。
他の子どもより体が小さく、中枢神経の障害や顔面形成不全もしばしば見られます。
またよく眠れなかったり、発作におそわれたり、きちんと学習できず、集中力にも問題があり、言葉もきちんとしゃべることがでず、他の子どもと同じように日常の問題に対処することができません。
FASの子どもはそうでない子どもより心臓、神経系、免疫系、骨の障害の他、ヘルニア、泌尿器や性器の異常も多くなります。
今述べたCOAがなりやすい様々な障害が既に暗示しているように、アルコール依存症の親の子育て能力に影響を及ぼす問題は他にも数多くあります。
アルコールのせいで、家庭内暴力が発生します。
激しい気分の変化、ひっきりなしの喧嘩、社会からの孤立、貧困、身体の病気などのような問題のすべてがアルコール依存症の親(両親)のいる家庭を苦しめています。
大量の酒を飲む人はアルコール以外の依存症にも陥りやすく、アルコール誘発性障害にも苦しめられています。
つまり、アルコール依存症患者は精神障害にかかりやすく、とりわけうつ病や不安症になりやすいのです。
既に述べた通り、彼らの子どももアルコール依存症になる確率が高いため、(依然として環境の結果と生物学的結果を決定するのは難しいのですが)最近、アルコール依存症が遺伝するのかをテーマにした数多くの研究が行われています。
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