子供の吃音症
そもそも子どもは、どのようにしてことばを獲得していくのか、から説きおこす。
言語学者であり精神分析家でもある著者は、障害の分類、検査と治療方法、治療の原則など、言語発達障害に関わる問題を、独自の視点から紹介する。子どもと向きあうすべての人のための、示唆に富んだ解説書。
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話すのを覚えることは、歩き方を覚えるのに幾分似たところがあります。
どちらも子どもは自分なりのペースでその技術を習得し、その習得過程で各個人はそれぞれ喜びや挫折を味わっています。
ほとんどつまずかずに居間の床からママとパパの腕にしっかり歩いてくる子どももいれば、よろよろと3歩歩いて堆み上げてあった物の中に泣きながら倒れ込んでしまう子どももいます。
これと同じように、すんなりと言葉を上達させる子どももいますが、言葉というこの奇妙な耳慣れぬ音を選り分けて、はっきり発音するのに悪戦苦闘を強いられる子どももいます。
普通、吃音は、同じ音を何度も繰り返したり、音を引き伸ばしたりして言葉をなめらかにいうことができない障害で、言葉に悪戟苦闘する子どもが共有して抱えている問題です。
吃音者は言葉をつっかえてしまい、まったく話が進まないことがあり、それほどひどくない場合でも多少話にためらいがあります。
吃音のほとんどは幼少の頃に始まり、3歳から4歳半の間に最もひどくなります。
女子より男子のほうに3倍も多くの吃音者がいます。
幸い、子どもの99%以上は10代になるまでには吃音がなくなっています。
不幸にも慢性的吃音状態になる少数の子どもは、言詭障害が小学校に入るまでにはっきりと証明され、時間を経ても改善がまったく見られないこともあります。
慢性的吃音者の言葉のなめらかさは、不安が多いか少ないかによって、良くも悪くもなります。
ほとんどは非常に緊張していて、自分が発音しにくい音を避けるため、言葉を慎重に選んで話そうとしますが、話すこと自体を拒んでしまう場合もあります。
吃音の原因については数多くの理論があり、神経障害と考える人もいれば、家族の対立が原因と考えている人もいます。
最近の研究では、その根本原因が生物学的理由にあることが明らかにされているようで、多くの吃音者の首や喉頭部の筋肉は、非吃音者とは異なっているようです。
普通、吃音者には、肉親の中にも吃音者がいます。
このような身体的な影響は、吃音が遺伝することのもう一つの証拠です。
不安があると吃音がひどくなることは確かですが、不安がこの障害の根本的原因とは思えません。
しかし、遺伝かどうかは別にして、ほぼ例外なく吃音は副次的に情緒的な問題を引き起こします。
調べたことを発表するために、にやにや笑っている同級生の前に立たされ、一言も言葉をしゃべれずにいるといった状況ほど耐えがたいことはまずありません。
吃音者は他の子どもから除け者にされたり、言葉を真似されたり、または情け容赦なく馬鹿にされたりします。
また他の子どもと言葉ですんなりやりとりできないので、しばしば社会的発達が損なわれてしまいます。
吃音者の不安、羞恥心、屈辱は、健全な自我意識を徐々に突き崩し、うつ状態にしてしまうばかりでなく、吃音もさらにひどくなってしまいます。
家族の不安、批判、精神的圧力も、吃音をひどくしてしまう恐れがあります。
ほとんどの親は子どもがあらゆる面で正常に成長してもらいたいと思っていますが、この思いがとりわけ顕著なのが言語表現に対してなのです。
子どもは「吃音は自分がいけないせいだ」と思い、言葉を自由に操れないのは自分が馬鹿で、愚かで、無能だからと感じてしまうかもしれません。
これまで述べてきたすべてのことは、以前より吃音をひどくしてしまうことにしかなりません。
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