子供の言語障害
そもそも子どもは、どのようにしてことばを獲得していくのか、から説きおこす。
言語学者であり精神分析家でもある著者は、障害の分類、検査と治療方法、治療の原則など、言語発達障害に関わる問題を、独自の視点から紹介する。子どもと向きあうすべての人のための、示唆に富んだ解説書。
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「ボブは本当に2歳なんでしょうか? おとなしすぎるんです!
スージーが2歳の頃は、とてもおしゃべりだったのに」
親にとって、子どもが最初に口にする言葉を耳にすることほど、うれしい瞬間はそうあるものではありません。
言語が親と子どもの杵をそれまでとは違う、ウキウキする方法で築き上げられるのは明らかです。
話し始めた時には、子どもがまるで「本物の人間」になったかのように思えます。
我が子がはじめて「ママ」や「パパ」と口にした時のことや生後1年までに覚えた言葉を日記や記録帳につけるのは世の親たちがよくやることで、とても楽しいことかもしれません。
実際、初めて言語を話したり、言葉が上手になっていく時、言語技術は、子どもが対人関係、感情、認識において発達していることの重要な証明でもあるのです。
しかし多くの親は、子どもが「これこれのことがいつまでにできているはず」と思い込んでしまっているため、
自分の子どもが「ちゃんとした」(他の誰かを規準にした)言語習得の計画通りにいっているようには思えなくなると、不安に思ってしまうものなのです。
その結果、我が子が最初に言葉を口にした時のうれしいお祝いの記録として始めた日記は、
「なぜ子どもはしゃべり始めないのか」
とか、
「上の子どもが同じ年齢で覚えていたのと同じ数の言葉を知っていないのはなぜなのか」
といった、不安がいっぱい書き込まれたきか気掛かりな成績表に変わってしまうでしょう。
けれども、たいていの場合、このような不安は抱く必要がないのです。
言語の発達状況には(すべての基礎的な技術の発達と同様)、すべての子どもに共通するある種の性質があり、だいたい同じ年齢で、ほぼ同じ間隔をおいて成長していきます。
しかし、それと同様に、各個人は他の人とは異なる独自の発達プロセスももっているのです。
一人ひとりの子どもはその子に独自の様々な特性や特徴を示しながら、異なるペースで自分なりに言語を習得していきます。
このような違いが生まれる理由には、生まれつきの生物学的原因から数多くの外部の環境的影響まで様々なものがあります。
しかし多くの親に安心してもらえる事実は、言語習得過程がつまずいてばかりだったとしても、子ども全体の95%以上が5歳までに、何の支障もなく効果的に言語を活用するようになることです。
重要な点は、一人の子どもにとって正常なことであっても、他の子どもにはそうとは限らないことです。
自分の子どもにとって何が正常か調べるために、子どもの発達のペースを観察して下さい。
子どもが最初に話した言葉は何か、言葉をはっきり伝えようとしてどのような仕草をしたか、他の人の言葉や考えにどう反応してきたのか、あなたはよちよち歩きの頃から目にしてきました。
あなたが下す判断は重要です。
こういう事態になることはめったにありませんが、仮に子どもに専門家の治療を必要とする言語技術上の障害がある場合、
あなたが提供する洞察と観察が、治療のやり方を決定する際に計り知れないほど重要な情報となるのです。
言語の発達に個人差がある理由を完全に説明できるわけではありません。
しかし、幼少時の言語的、非言語的環境がそこに重要な役割を果たしていることははっきりわかっています。
予測される通り、多くの言葉をかけ、心身ともに健全な環境で育てられた子どもは、すんなりと言語を発達させていく傾向があります。
多くの言葉をかけてあげ、いつも緊張状態を抑え、家の中に不安な気持ちを持ち込まないようにすれば、そうでない場合より子どもは自らの才能を十分に開花させ、
より早く、なめらかに話せるようになるでしょう。
適切な言語技術を習得しているのかどうかは、子どもの言葉に対する素質や能力以外のことも伝えてくれます。
それは家庭環境が健全であるという目印なのです。
誰にでも通用する「正常な」発達の時間表はないといいましたが、
子どもが何をいつまでに達成すべきかについての、おおよそのことを教える一般的指針を提供することにします。
普通、この予定表通りにいかなくても、そのちょっとした欠陥や遅れのほとんどは自然に解消されることを忘れないで下さい。
● ほとんどの子どもは生後2、3ヶ月までに笑い、3カ月から半年の間にクックッといって喜びを現し、5ヶ月までに人の声に反応 し、半年までにバブバブというようになる。
● 生後10ヶ月から1年の間に、子どもは少し(二、三言)言葉を覚え、3歳半から5歳までには1000語を覚えているかもしれない。
● 生後2年までに、ほとんどの子どもは二つの単語をつなぎあわせて文章を作り、3歳までには三つの単語をつなぎあわせて文章を作る。
4歳までに、子どもは(平叙文、疑問文、感嘆文、否定文など) 様々な文の種類を使えるようになる。
● 5歳までに、子どもの95%は、ほとんど(またはまったく)支障なく言葉をしゃべり、人の話を理解するようになる。
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