子供のADD(注意欠陥障害)
アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリアなど世界各国で支持され、注目されているシュタイナー教育の実践編。
子供の魂を育てる教師の在り方、学校の在り方が明快に示される。『シュタイナー教育の基本要素』姉妹編。付:1~12学年までのシュタイナー学校カリキュラム例。
子どもを理解する/精神科学的人間認識の観点からの教育実践/学校の運営/付録(学年毎の主要授業の例/一週の科目時間数の例)
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成長していくにつれ、子どもは忍耐力を身につけ、徐々にある種の話題や活動に長い時間意識を集中する能力を発達させていきます。
保育園に入園するまでに、座って、耳を傾けたり、ほとんどのいいつけに従う能力を発達させている子どももいます。
幼稚園に入るまでには子どもの多くが、そして小学校の2、3年生になるまでにはほとんど全員がこの能力を身につけます。
しかしどのような子ども集団の中でも、この能力に大差がないといっているわけではありません。
それぞれの子どもにはその子なりの発達のペースや発育のプロセスがあります。
活動量で大きな違いがあるのはもちろん(生まれた瞬間でもこの相違は著しいものです)、忍耐力、集中力、記憶力、作業を系統立てて遂行する能力にも子どもによってかなりの違いがあります。
保育園に入れば、子どもによって既に活動量に大きな違いができているのがわかるでしょう。
保育園や幼稚園を訪れさえすれば活動量以外の多くの領域でも子どもによって発達様式や習熟度に違いがあることに気づくはずです。
部屋の隅で、ぬり絵の輪郭からはみ出さないようにクレヨンで黙々と色を塗り続けている物静かな女の子もいれば、冗談を飛ばし、
この女の子の頭の上に紙飛行機を飛ばしている活発で、気の散りやすい男の子もいるでしょう。
実際、育児書の模範通りに「正常な」発育のあらゆる面に一致している子どもなど一人もいません。
すべての子どもは独立した個人であり、自分なりの時間と方法で発育しているのです。
しかし、小学校の2、3年生を過ぎても、不注意、過活動、衝動性といった特徴が治まらず、大きくなるにつれてかえって激しくなってしまう子どもがいます。
このような子どもはADD(注意欠陥障害、またはADHDく注意欠陥多動性障害〉とも呼ばれている)である可能性があります。
マスコミでもかなり注目を集めているので、多くの親は子どもが多少でも快活すぎたり、根気のなさを示したりすると、この障害ではないかと不安になってしまうようです。
これとはまったく逆に、ADDという障害など存在していないと主張している人もいます。
医者や製薬会社が、まったく異常がないのに多少活動的で、忍耐に欠け、知能のちょっと劣る子どもを誤って病気と診断していると言い張っているのです。
このような疑り深い人がやらなくてはいけないたった一つのことは、ADDの子どもと1日過ごしてもらい、この症候群が存在しているのをはっきりと認識してもらうことです。
学校の先生は、ADDの子どもは常時問題を引き起こし、他の子どもより集中力が著しく劣っていると不平をいいます。
いわれたことをやり遂げるのが困難で、集中していられる時間が短く、いつも自分の持ち物を忘れたりなくしたりし、指示を聞いたり従ったりできないように見え、ちょっとした刺激ですぐ気が散ってしまうのです。
家庭では、歩き始めた時から絶えず活動しているように見えます。
走ったり、何かによじ登ったり、つまずいたり、おしゃべりしたり、あらゆることに手を出し、なかなか自分を抑えたり、こらえたりすることができません。
何事にも長い間待っていることができず、競争心がとても強く、強情で、厚かましく、いぼりちらす傾向さえあります。
ADDの子どもは少数で、間違ってこの障害と診断されてしまうことがあるのも事実です。
信頼のおける推定値では、学齢期の全児童の約7%にこの障害があると指摘されています。
しかしその全員が、この障害として挙げられている症状をすべて現しているわけではありません。
注意力の不足している子どももいれば、過活動の子もいます。
ほぼ全員に衝動的傾向があります。
男子が女子よりADDの有病率が高いと思われています。
しかし最近の調査結果は、少年のほうが少女より過活動の要素があり、破壊的傾向も強いため、少年にADDが多いという誤った結論に導いていることを暗示しているように思えます。
かわいそうなことにADDの子どもの多くは、他の行動障害、気分や自己イメージの問題、不安、うつ病、排除感、拒絶感、孤立感といった問題にも苦しめられています。
ADDの子ども全体の半数近くが、失読症(うまく読めない)、計算力障害(うまく計算できない)、書字障害(きちんと書けない)のような学習障害も併発しています。
現在では、子ども時代にADDを治療しておかなければ一生治らず、後の人生に多くの悪影響が出てくることが多いのがわかっています。
子ども時代にADDだったティーンエージャーや成人は、子ども時代に苦しめられていたのと同じ後遺症(不注意、衝動性、過活動)にしばしば苦しめられるばかりでなく、
行動障害のなかった同僚より反社会的行動を犯したり、アルコールや麻薬を乱用したり、自動車事故を起こしたりする確率が高く、自尊心が低く、学業や職場での業績も劣ってしまいがちになります。
これが早い段階に診断や治療が不可欠な重要な理由です。
この症候群の原因が何か確実に理解している人は一人もいません。
ADDが遺伝するという証拠がいくつか提出されているようですが、それと同じくらい親子関係の問題、家族や子育ての問題のような環境のストレスも重要な役割を果たしているという証拠があります。
食事、脳障害、またはいわゆる脳内の化学物質のアンバランスなどの説もありますが、それがADDの根本原因であるという決定的証拠はありません。
ADDは生まれつきの素質と環境の要因が重なり合って引き起こされる障害と見て間違いないでしょう。
ADDの警戒信号として親は何を注意すべきなのでしょう?
それは7、8歳になっても、次のことが持続している場合です。
● 注意を払ったり、維持したりすることができない。
● 慢性的なだらしなさ(例えば、子ども部屋、宿題、活動、学校環境での勉強)。
● 耳を傾けることができない(反抗しているように見えますが、子どもにそのような気持ちはありません)。
● 長い精神的努力が必要な課題を継続したり、成し遂げることができない。
● 散漫性(注意力の維持ができない)。
● いつもものを紛失する。
● いつもそわそわしていて、走り回ったり、何かによじ登ったり、一ヶ所にじっとしていられない(1歳頃に明らかになることが多 い)。
● しゃべりすぎる。
● 静かに余暇活動につくことができない。
● 自分の順番を待てず、答えをうっかりしゃべってしまったり、人が答えるのを邪魔したりする。
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