子供のうつ病に、どう対処するか
本書は、子どものうつ病を包括的に捉えて、成因・病態、症状、分類・類型、経過・予後などについての最新知見を簡潔に述べたうえで、有効な薬物療法・精神療法、家族へのアプローチ、自殺の予防といった治療の実際を豊富な症例を挙げ具体的に詳述したものである。
さらに現代社会の子どもへの影響や、“うつ”状態が子どもにとって何を意味するかまでにも言及している。
今まで見逃されてきた「子どものうつ病」を正しく診断し、治療するために必要な事柄をすべてもり込んだ実用書である。
特徴や症例が載っていてわかりやすく読めました。
こどもに携わる人は必読です。
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数週間、子どもがうつ病の症状の一つ以上を現し、よくなる気配が見えないようなら、次のような手段を講ずるべきです。
(1)子どもに優しく話しかけて下さい。
いかに建設的なものであろうと、批判はうつ状態の子どもに誤解を与えてしまうことが多く、さらに自己嫌悪感を募らせてしまう原因になります。
(2)常識を働かせ、子どもを悩ませていろ考えや状況があるのかどうか尋ねてみて下さい。
(3)うつ状態の原因となった可能性のあら過去の出来事をざっと調べてみることで、うつ状態になったと考えられる理由を子どもが突き止められるようにして下さい。
うつ状態の徴侯に気づいた時、子どもが学校、友人関係、キャンプ、家庭で実行し、表現し、経験していたかもしれないことは何でしょう?
ストレスの多い状況が子どもの感情(うつ状態)と関連していないか見てみることが、大変役に立ちます。
気分が落ち込んでいる原因はあなたや家庭環境にあるかもしれません。
忘れてならないことは、この事実から目を逸らさず、しっかり検討し、状況を変えていくのは、とりわけ難しいということです。
(4)希望を抱きなさい。しかし口先たけの望みは禁物です。
恐らく気を滅入らせてしまう十分な根拠(理解可能な理由)があるはずだといって、子どもを安心させて下さい。
(5)うつ状態の原因を突き止めたなら、その原因がいかに不合理で、ばかげているように見えても、子どもに自分の失望感を述べさせて下さい。
自分の話を親が受けとめてくれるだけで、子どもは自分が愛されているという気持ちになり、疎外感が軽減されるので、うつ状態は治ってしまうかもしれません。
子どもに失望感を述べさせたなら、あなたはそのような感情は誰もが抱くもので、気を滅入らせてしまう以外にもこの状況に対応する手段があると子どもに話してあげられるかもしれません。
(6)自分の似たような体験を子どもに伝えてあげるといいかもしれません。
必ずしもあなたの人生について事細かく話す必要はありません。
子どもがある程度楽観と希望をもてるようにしてあげることができれば十分です。
(7)ほとんどのうつ状態は、一定の期間が過ぎれば治ってしまいます。
ほとんどの子どもは数週間から数カ月もしないうちに、自力でうつ状態から回復していくことを心に留めておいて下さい。
(8)次のような徴候が現れた時には、専門家の助けが必要となります。
●死、天国、来世、亡くなった親族やペットのことを考えたり、ほのめかしたりする場合。強い罪悪感や自責の念。
「この世にいたくない」という願望。自殺をほのめかす言葉、考え、しぐさ、行動。
●今まで述べてきた対処法を実行しても、数週間うつ状態に改善が見られなかった場合。
●数週間の間にうつ状態が悪化した場合。
●軽度のうつ状態が数ヵ月間続く場合。
●学校の出席、対人関係、身体の健康が著しく蹟なわれている場合。
ある種の状況に置かれている子どもは、他の子どもよりうつ病になりやすいという事実を記憶に留めておいて下さい。
うつ病の親をもつ子ども、行動障害やADDのある子ども、発育障害のある子ども、内気さや恐怖心のせいで対人関係がきわめて不器用な子どもたちなどです。
(9)うつ病には多くの治療法がありますが、最も重要なのは心理療法(個人療法、家族療法、場合によっては集団療法)です。
まずこの「従来から行われている」話し合いに基づく療法を必ず治療の根本に据えるべきです。
自分の感情を理解し、それを人に伝えることが、依然として子どもに最高の安心感を与えます。
もちろん、自殺の衝動に駆られたり、学校や社会でまったくうまくいかなかったり、身体の症状が重かったりする場合には、子どもを入院させなくてはならないかもしれませんが、そういった事態はごくまれにしかありません。
抗うつ剤の服用が年々急速に増加してきました。(大人に対して認可されている)抗うつ剤の子どもへの利用に関する研究もいくつか発表されています。
抗うつ剤は、うつ病の悲惨な状況から多くの人の命を救ってきました。
まだ情報が十分とはいえませんが、子どもへの抗うつ剤の利用は大変有効であるといって差し支えありません。
しかし、うつ状態が重くて薬の服用もやむを得ない場合を除き、第一の治療手段は薬ではなく、心理療法であると断言することができます。
(11)既に述べた通り、間違った病気を診断され、薬を投与した後になって初めて躁病と診断されることは少なくありません。
心理療法に加え、躁病にはしばしば精神安定剤や抗精神病薬の投与が効果的です。
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