子供の嘘
アメリカ・ヨーロッパ・オーストラリアなど世界各国で支持され、注目されているシュタイナー教育の実践編。
子供の魂を育てる教師の在り方、学校の在り方が明快に示される。『シュタイナー教育の基本要素』姉妹編。付:1~12学年までのシュタイナー学校カリキュラム例。
子どもを理解する/精神科学的人間認識の観点からの教育実践/学校の運営/付録(学年毎の主要授業の例/一週の科目時間数の例)
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「ビーチボールはどこにあるかって?ママ、大きなカモメが盗ってしまったんだ!
空から舞い降りてきてね。
飛行機と同じくらい大きかったよ!
カモメに浜辺をずっと追いかけられだんだ!」
ビリーは飛行機と同じ大きさのカモメが、ビーチボールをもっていったと話しています。
でもそれは、ビリーに何らかの精神的な障害がある徴候ではありません。
彼は5歳です。
この話を大袈裟だとか、(もっと単刀直入にいえば)嘘だと呼べるかもしれませんが、実際は彼と同じ年齢の多くの子どもが同じことをしています。
想像力を自由に働かせて、実際よりもっと楽しく、興味深い現実を創り出しているのです。
実際に彼にはビーチボールがどうなったのかわかりません。
なくしてしまった何らかの理由を思いつかないなら、恐らく窮地に立たされると思ったのでしょう。
だからこの危機を脱出するために、自分の創作能力に頼ったのです。
しかも、ビリーは嘘をついているわけではありません。
巨大な鳥が空から舞い降りてきて、自分のおもちゃを奪っていったと半ば信じているのですから!
6、7歳になるまで、ほとんどの子どもは「願望的思考(訳注・身勝手な願望に基づく非現実的な考え)」、想像、現実の区別がつけられません。
非現実的な考え、想像上の遊び友達、旺盛な空想力は相変わらず小さな子どもの生活で非常に重要な位置を占めています。
これが7歳以下の子どもに真実を語ることを期待するのが不適切な理由です。
しかし7歳を過ぎた後には、子どもが徐々に真実と嘘の間の区別に気づいてくれることを期待することができます。
では、7歳以上の子どもはなぜ嘘をつくのでしょう?
誰もが意識して嘘をつくのと同じ理由からです。
それは不快に思われたり、ひにん否認されたりするのがわかっている行動を隠すためだったり、または人にあまり知られていない自分についての事実を人に誇示したり、「尾ひれをつけたり」することで自己イメージを高めるためです。
このような自己顕示欲の旺盛な嘘つきは、自分が誇張して話したことを時々本気にし始めます。
その主な理由は、自尊心が低すぎるので、自分についた嘘をどうしても信じたくなってしまうからです。
親は小さな子どもが話す嘘に驚いてはいけません。
不安を抱くべきなのは、嘘をつくのがやむにやまれぬ衝動になったり、広範囲に影響を及ぼしたり、とりわけ行動障害をもつ子どもに見られる反社会的行為と関連している場合だけです。
人を騙すのは重い行動障害をもつ子どもによく見られる主な症状ですが、普通、攻撃的・敵対的振る舞い(規則違反、盗み、麻薬やアルコールなどの乱用、その他の非行行為)と同時に見られます。
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