子供の強迫性障害
強迫性障害ってほんとうはどんな状態(世界)なの?
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不安があっても大丈夫。
手を洗い続けていても大丈夫。
確認を続けても大丈夫。
誰だって不安はあるものだから。
いつかはやめることはできるから。
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自分自身、そして母親や父親など自分の人生に深く関わっている人物の身を守るために、儀式的または反復的な振る舞いをかたくなに守らなくてはいけないと思い込んでいる時期がほとんどの子どもにあります。
就学前の子どもは、ぬいぐるみの動物を大きさ、色、動物の種類に従って非常に正確な順番で並べ、この儀式が終わって満足するまでは眠らないかもしれません。
決められた通りに、決まった服を着なければ、幼稚園に行こうとしない子どももいるかもしれません。
「嫌よ、ママ。
ピンクのシャツの上には青いセーターって決まってるの!」。
大人にとってはばかげているように見えますが、子どもがこのような振る舞いを大変重要だと思っているのは単純な一つの理由のためです。
それはある程度周囲の環境を自分の手でコントロールしているという意識をもつためで、このような状況を作らなければ子どもは耐えられないほど当惑してしまうでしょう。
幼い頃は、人生はほとんど自分の思い通りにいかないので、子どもはある種の儀式行動を作り、それをかたくなに守ることで、
自分は大人の決断や不可解な環境に完全に支配されていないという気持ちをもつことができるのです。
成長するにつれて、子どもは儀式的、または強迫的な振る舞いをやめて、
自分の権利を主張し、世の中にその権利を行使するといったもっと大人らしい手段を利用するようになります。
普通、小学校に入学するまでに、強迫的な振る舞いはすっかり影を潜めます。
しかし成長していく過程で壁にぶつかり、子どもを脅かしたり、または無力だと感じさせる状況が発生した時、儀式行動が復活してきてもおかしくありません。
再び、親指をしゃぶりだしたり、ピンクのシャツの上に青いセーターを着なくてはいけなかったり、小さな子どもなら歩道の割れ目の上を踏んだ瞬間に死んでしまうと思うようになってしまうのです。
大きな不安を抱いている子どもにとって、このような儀式的な思考や振る舞いは「強迫観念」や「強迫行為」になります。
強迫観念とは、無意味で、不必要で、うっとうしいことがわかっているかもしれないのに、やむにやまれずに繰り返し思い浮かべてしまう好ましくない思考、イメージ、衝動のことです。
しかし大人とは違い、強迫観念にとらわれている子どもの多くは、
自分の振る舞いが無意味であることに気づかず、それが議論の余地のない真実だと思い込んでいることを忘れないことが重要です。
強迫行為とは、子どもが強迫観念に反応して実行してしまう活動や行動のことで、しばしば自分や家族、友人を守るという内面で知覚された義務を果たすために実行する活動や振る舞いのことをいいます。
「歩道の割れ目を踏んだら、ママの背骨が折れてしまう」という強迫観念は、いつも歩き方に注意しなければ母親に危害を加えてしまうと子どもに信じ込ませています。
ゆえに、強迫行為は歩道の割れ目を踏まないようにすることなのです。
この簡単な例からもピンとくるかもしれませんが、子どもが内面で感じている義務は、歩道を決められたように歩いて母親を救うというばかりでなく、
自分が抱いているとは信じたくない心の奥深くにある怒りの衝動から母親を守ることなのかもしれません。
つまり、強迫行為はほぼ例外なく、一見するより複雑な内容が組み込まれていて、他にどうすることもできないと感じているために子どもが助けを求める複雑な「防衛機制(自我を苦痛・不安から護るための無意識の反応)」であることが多いのです。
強迫観念は相互依存関係にある強迫行為なしに生じることはめったにありません。
この二つは密接な関係にあるのです。
このような儀式行動が本格的に強迫的なものになると、多くの不幸なやり方で子どもに手かせ足かせをはめ、家族全体にもひどい悪影響を与えます。
明りを左手でしかつけられない子ども、浴室を通る度に手を12回洗わなくてはいけない子ども、赤い(または緑、白い)色をした食べ物が食べられない子ども、6回アイロンをかけなければ服を着られない子どもなどがその例です。
なるほど、子どもの頭がすっかりおかしくなったと考えている親にも同情してしまいたくなります。
現在、強迫性障害(OCD)は様々な面から研究が進められていますが、その原因は相変わらず厚い神秘のヴェールに包まれています。
遺伝子的要因と同様に、子どもが脳内のセロトニン、ノルエビネフリン、ドーパミン(「快楽」ホルモン)などの神経伝達物質をきちんと活用できない体質上の欠陥との関連を示す証拠も提出されています。
パーキンソン病の症状に似た脳の形態学的異常にあるとの証拠もあります。
強迫性障害の子どもの大多数がある程度回復しますが、多くの患者はこのような状態が一生の間におさまったりぶり返したりしているように見えます。
まったく回復の兆しが見られない人も数%います。
例外なくいえることは、強迫性障害の子どもは非常に神経質であるということだけです。
最後に、最善で最も効果のある治療法を提案しておきます。
(1)強迫性障害の子どもが家族に与えている苦痛や不快感がどのようなものであれ、子どもの苦しみのほうがはるかに大きいことを心に留めて下さい。
子どもがこのような反復的な考えや行動にとりつかれている場合、まず最初で最善のアプローチは、必ず思いやりを示すことです。
子どもが本当に自分ではどうすることもできないと感じている遍巌行為を不当に罰したりしなければ、その状況は自然におさまっていく可能性があることを忘れてはいけません。
(2)強迫性障害と似た特徴や症状を示す精神障害が他にも数多くあることを覚えておくべきです。
他の障害の可能性を専門家に鑑別診たん断してもらうまでは、強迫性障害と簡単に結論を下してはいけません。
似た症状のある障害には、慢性うつ病、恐怖症、PTSD、精神分裂病、トウーレット症候群、心身症があります。
(3)強迫性障害の子どものいいなりになってばかりいると、家族の怒りが膨らみ、結局、子どもをとりかえしのつかない状態にしてしまう恐れがあります。
また、子どもの振る舞いが家族の注意を引きつける手段としてますます強化される可能性もあります。
それがまた、家族をさらに激しく怒らせてしまう原因となり、子どもも自分の振る舞いがやめにくくなってしまいます。
つまり、心からの思いやりを示し、強迫性障害の子どもの苦しみを常に理解しようという気持ちから行う限り、
子どもの振る舞いを阻止するのは、結局、子どもにも家族にとってもいい場合が多いのです。
(4)一般に、専門家の助けが不可欠です。
専門家は強迫性障害と重なり合う症状のある精神障害を鑑別診断し、正しい治療を処方してくれるでしょう。
(5)普通、治療では個人療法が実施されます。
様々な認知療法や行動療法も効果があることが証明されてきました。
家族療法や家族支援も必ず必要になるでしょう。
(6)向精神薬の投与は、強迫性障害の治療でも重要になってきました。
現在、アナフラニール、プロザック、ルボックス、ゾロフトのような薬が最も広く利用されています。
それらの薬は症状を軽くし、子どもに関わる人全員に一息つかせてくれます。
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