子供が感じる恐怖症への対処法
様ざまな障がいを持つ子どもたちと共に、シュタイナーの治療教育を学んだスクールカウンセラーである著者が、お母さんお父さん、そして先生に贈る理解と愛情の応援メッセージ。
第1章 シュタイナーの治療教育への入り口(問いを持つことから始まる/障がいを持つ子どもたちを理解するための二つの柱 ほか)/第2章 様ざまな子どもたちと出会う(浅い呼吸と緊張した体―「気になる子ども」カズヤくんのこと/自閉症という「文化」の理解 ほか)/第3章 子どもの発達相談室―子どもの発達についてのQ&A(夜尿/つめかみ・指しゃぶり ほか)/第4章 障がいを持つ子どもたちとともに生きる(しげちゃんはどうして乱暴なの?―障がいを理解し、適切な配慮をするためのアイデア/障がいについて子どもにどう説明すればいいのか?―障がいを持つ子どもたちの本質を愛情・尊厳を持って見ること)
とても読みやすく、読んで安心できる本でした。障害を持っているかどうかにかかわらず、子どもに関わる全ての人におすすめです。
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まず、日常の成長過程で必然的に遭遇する、ごく一般的な種類の「恐ろしい」恐怖に子どもが取り組むのを助けるために、私たちができることを調べてみることにしましょう。
(1)恐れることなどまったくないことが頭ではわかっていても、子どもの恐怖を真剣に受けとめてあげることが大切です。
(2)うろたえたりしないで下さい。恐怖は人に伝染してしまうものです。
子どもの恐怖に自分も怖くなってしまっては、問題は永遠に解決されないでしょう。
(3)子どもが怖がっていることに腹を立てたりしないで下さい。
あなたが怒っても、子どもの恐怖は増すだけで、恐怖の原因をますます話しづらくさせてしまいます。
(4)恐怖の原因に子どもをすぐに無理やり立ち向かわせてはいけません。
一つめの事例に挙げた女の子に話をしたり、落ち着かせたりする機会を与えず、いきなりゴムボートで水上に出て、潜り方を学ばせようとしても、事態は悪くなる一方です。
ほとんどの恐怖はひとりでに消えていくものです。
気分を静め、自分で納得して恐怖から抜け出す機会を子どもに与えて下さい。
(5)どんな種類の恐怖を抱いていたとしても、それはまったく異常なことではないといって子どもを励ましてあげて下さい。
怖いものが何一つない人間などいません。
怖がっているものがある子どもが、どんな方法を使ってその恐怖を克服したかをテーマにしたお話を読んであげるといいかもしれません(このような本の多くは図書館や近所の書店で手に入ります)。
あなたが自分の抱いている恐怖について話し、それをどのように克服しているか子どもに話してあげることもできるでしょう。
恐怖がかなり著しく、自然に、または先に説明した対処法を利用しても治まらない子どももいます。
その子どもは、自分の恐怖心を引き起こしているものと出合うのを避けるためならどんなことでもするでしょうし、
いくら安心させたり理性的に話し合っても子どもの恐怖を減らす役には立たないでしょう。
このような極度の恐怖のことを「恐怖症」と呼んでいます。
この障害は、子どもが毎日遭遇する状況、活動、人間に対して抱く不合理な恐怖であり、恐怖症以外の人間にはこれほど強烈に、嫌悪感を伴って体験されることはほとんどありません。
ある特定のものを回避することが恐怖症の子どもの生活の特徴で、それがひどく極端になってしまうこともあります。
一般に恐怖症の主な対象となるのは、犬、猫、蛇、昆虫、大きな騒音、水、暗闇、怪物、幽霊、血、火、細菌、見知らぬ人、一人になること、高所、閉じ込められること(閉所恐怖症)、雑踏またはぽっかりと開いた空間を歩くこと(広場恐怖症)などです。
恐怖症は具体的な不安の原因(犬、猫、赤の他人、怪物など)それ自身より、もっと根本的な原因で子どもが苦しめられていることを常に暗示しています。
恐怖症の原因は常に象徴的なものであり、子どもは怖いと意識しているものに置き換わる何らかの根本的不安を抱いているのです。
例えば、犬への恐怖は実際には親に対して怒りを現すことへの深い罪の意識という恐怖の隠れ蓑になっているかもしれません。
ぽっかり開いた空間に対する恐怖も、親に捨てられるというより根源的な恐怖に根差していることがあります。
このような心の奥に潜む恐怖との遠回しの関係が、恐怖症に対処するのをひどく難しくしています。
原因らしきものは表面にまったく姿を現さず、常に水面下で本当の恐怖が起こっているのですから。
子どもにしてあげられる主なことは、子どもが内面に抱いている恐怖を減らせるようにすることです。
それは心の中で怒ったり、やましい考えを抱いたからといって、親に捨てられたり、お仕置きされたりしないこと、
そして無条件の愛情が注がれていることを子どもに気づいてもらうことです。
き/しも/ノ しかしほとんどの場合、この作業を慌てて実行するのは禁物です。
恐怖症が子どもや家族を混乱させてしまうほど重い場合、とりわけこのアドバイスは重要になります。
最初は、できるだけ早く不安を静め、学校や家庭での混乱のような厄介な問題を防止するため、あらゆる手を打たなくてはいけません。
次に、子どもが恐怖を別のものに置き換えていることを理解させ、恐怖症の下に潜んでいる本当に根深い恐怖と向かい合い、もっと効果的な対処法を作り出せるようにする手助けをしなくてはなりません。
最後に、家族自体が子どものこの強固な恐怖に及ぼしている役割について徹底的に正直になり、恐怖症の子どもとの親子関係のあり方を変えていかなくてはなりません。
恐怖症の原因がトラウマ(心の傷)による場合があることも覚えておくのが大切です。
言い換えれば、直接か間接かにかかわらず、子どもは恐ろしい出来事を体験しているかもしれません(例えば、人の死を目撃したこと、金品を奪われたり、強奪されたこと、性的いたずらをされたこと、テレビや学校で暴力のニュースを耳にすることなど)。
この恐怖体験は、親にとってはそれほど極端な恐怖をもたらす正当な原因には思えないかもしれませんが、子どもに根深い恐怖を引き起こしているのです。
このような恐怖症の場合は、必ずしも心の奥に潜んでいる恐怖との置き換えがあるとは限りません。
トラウマについて子どもがきちんと打ち明けられるようにすることで、多くの場合この恐怖症は取り除かれます。
要約すると、子どもが恐怖症の場合の対処法は次のようになります。
(1)普通の恐怖と同じように、恐怖症もほぼ例外なく親の常識と特別な配慮があれば自然に治るものであることを理解して下さい。
(2)子どもを安心させようとしたり、恐怖症の根本にある不安や恐怖を探求させようとしてもうまくいかない場合には、専門家の助けが必要かもしれません。
診察してもらうセラピストは、子どもが恐怖症を通して表現している未解決の問題の原因となっている家庭内の出来事や振る舞いを調査するものと思って下さい。
不安を迫体験させながら、不安を引き起こしている原因を理解することに治療の焦点が当てられるでしょう。
いくつかの精神療法(一般には個人療法か家族療法)の他に、精神安定剤やいくつかの抗うつ剤などの薬の利用も提案されるかもしれません。
認知行動療法は恐怖症の治療にかなり広く利用される精神療法で、子どもが恐れている状況にじかに対処する手助けをする方法です。
子どもの苦悩の「より深い」精神的原因を探求する必要がない場合もかなりあります。
それはすぐに原因が確認できるトラウマによる恐怖症の場合です。
認知行動療法は、この心的外傷性恐怖症に最も期待通りの効果を発揮します。
(3)あなたから見れば、子どもの恐怖症は「ばかげて」いて「非現実的」に思えるかもしれませんが、子どもにとっては途方もなく有害な力をもっています。
ですから、恐怖症を必ず真剣に受けとめてあげなくてはいけません。
同情と理解を示し、必要な場合には責任ある専門家の助けを借りて治療しなければ、子どもを一生立ち直れなくする危険性があります。
あまり長い間、恐怖症を治療せずに放置してはいけません。
数週間から1ヶ月以上、症状が消えず、あなたが特別な配慮を施しても症状が軽くならない場合には、専門家の助けを求めて下さい。
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