子供の睡眠障害
睡眠障害とは何か、最新の治療法や睡眠薬とのつきあい方などを医療スタッフに向けて第一人者が概説するガイドブック。
若い世代や高齢者の睡眠障害に関する情報は教育・福祉の場での問題解決や対応にも役立つ。
疲れ過ぎず、睡眠は十分取り、規則正しい生活を送ることが、この病気から少しでも逃れる一方法だと思っています。
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夜、ぐっすり眠れることは大人はもちろん子どもにとっても、心の健康を計る上で指折りの信頼のおける優れたバロメーターです。
不眠症、悪夢、比較的まれな「錯睡眠(睡眠時遊行症、睡眠時驚愕症)」のいずれであれ、普通子どもがなかなか寝つかれないのは、
心のより深いところに隠されている不安や身体の病気があることのシグナルです。
子どもの睡眠障害のせいで家庭全体が混乱してしまうかもしれません。
しかし、特別な配慮が必要な睡眠障害は、ほとんどありません。
子ども全体の3分の1以上が、人生のある時期に睡眠障害を経験していますが、大方ひとりでに治っています。
午前3時に子どもにお乳をあげなくてはいけないように、幼児と親の睡眠時間は必ずしも一致していませんが、
赤ちゃんの生活の大部分は睡眠にとられ、1日の60%から70%は眠っています。
その理由の一端は、赤ちゃんの発育が(精神的にも肉体的にも)あまりに急激なために、それだけ多く眠る必要があるからです。
赤ちゃんは外から見ればすやすや眠っているように見えますが、その内面では生物的発達が急激に進んでいます。
1歳になるまでに、ほとんどの赤ちゃんは1、2度軽い昼寝をするだけで、一晩中目を覚まさずに眠るようになります。
大きくなるにつれて子どもの昼寝の回数は少なくなります(普通、2歳児は目に一度昼寝をするだけで十分です)。就学年齢の子どもは夜平均12時間の睡眠をとっています。
子どもの睡眠パターンは多くの原因で妨げられてしまう恐れがあります。
乳歯がはえるむずがゆさ、身体の病気、腹痛、摂食障害、個人の生物学的気質、分離不安、騒々しい(無秩序な)環境もその例で、
年長になるとADD(注意欠陥障害)、不安、うつ病といった障害も挙げられるようになります。
子どもの睡眠パターンを理解し、そのパターンを乱す原因を指摘できることにかけては、親こそ最高のセラピストです。
結局、寝起きする赤ちゃんと片時も離れず関係を保っているのは父親と母親なのです。
泣いている子どもをあやすために午前3時か4時に毎朝起きなくてはならない親ほど、子どもの正常な睡眠パターンを知っている人間はいません。
赤ちゃんは目を覚ましている間はずっと親にそばにいてもらいたいと思っていますが、親が離れるとどれくらいの不安を示すのか、親以上に知っている人間は誰もいないのです。
子どもに一番多い睡眠障害は不眠症で、
「最低1ヶ月間、夜眠れなかったり、睡眠状態を保てなかったりすること」
と定義されています。
不眠症はほぼ例外なく、子どもが環境の中に抱えている困難と関連しています。
不眠症の子どもは親に依存しすぎていて、昼間は居眠りが多く、親の不安を自分も吸収してしまい、
いつもと違う食事のパターンに慣れるのは困難で、学校、友人、兄弟のことで問題を抱えています。
あまりにも恐ろしい悪夢を見るため、寝るのを怖がることもあります。
しかし、ほとんどの子どもに不眠症の治療は必要ありません。
睡眠不足を調整するために必要なことは何でもやってみることによって、症状はたいてい自然と治っていくからです。
親は子どもの不眠のことであまり神経質にならず、自分自身が冷静で、しっかりとした手本になり、十分な睡眠時間が必要であることを身をもって示すことで、子どもの役に立てるかもしれません。
親は日常的に子どもの見本になるべきです。
テレビの深夜放送のような娯楽に誘惑されてはいけません。
恐らく不眠症の次に多い睡眠障害は「悪夢」でしょう。
どんな子どもも悪夢を見ることがあり、子どもの50%が少なくとも人生のある期間に定期的に見ています。
悪夢は眠った直後に見ることはほとんどなく、夜も一番更けたREM(急速眼球運動)睡眠時に見る傾向があります。
夢のほとんどは身体に危害を加えられることに対する恐怖に関連した内容で、子どもは夢の中で事故にあったり、怪物や幽霊に追いかけられたり、暴力を振るわれたりします。
一般に、悪夢は子どもの抱えている不安な感情についての葛藤には表現を与え、不安の捌け口となっています。
成長し、成熟すれば、子どもは目を覚ましている間にそれ以外の、びくびくさせられることのない手段を利用して、不安を解消できるようになるでしょう。
悪夢を見た後や見ている最中、子どもはすぐ目を覚まし、夢を鮮明に思い出します。
普通、意識ははっきりしていて、混乱してしまうことはありませんが、ふるえあがったり、うろたえたりします。
再び寝かせるためには子どもにかなり安心感を与えなくてはならないかもしれませんが、眠れば再び悪夢を見るようなことはなく、あとは朝までぐっすり眠ることができるでしょう。
錯睡眠(睦眠時驚惜症と睡眠時遊行症)の子どもは悪夢を見る子どもより数はずっと少ないのですが、子どもも親もはるかに悩みが大きくなってしまいます。
悪夢と比べ、錯睡眠は寝入ってからあまり時間の経たないうちに見る傾向があり、普通眠って3時間以内(寝入ってからREM睦眼に移行するまでの間)に発生します。
睡眠時驚惜症(夜驚症とも呼ばれる)はうまい命名の仕方で、突然、子どもは叫び声をあげて目を覚まし、気持ちを激しく動揺させ、走り回ったりして、けがをする危険があります。
睡眠時驚惜症に苦しむ子どもは意識障害を起こし、パニック状態になり、親がなだめても残念ながら簡単に落ち着かせることはできません。
しかし、朗報が一つあります。
それは、一般に子どもは自分がやったことをすっかり忘れて、翌朝には何があったのか覚えていることはめったにないことです。
同様に、睡眠時遊行症も睡眠の初期の段階で起こり、やはり子どもは自分が何をやったのかほとんど記憶していません。
一般に夢遊病者はうつろな表情で、にらみつけるような顔つきをし、自分に何かを伝えようとしている人には反応を示します。
この障害の最高の解決策は、静かに子どもをベッドに戻し、この症状が現れている間は目を覚まさないようにしてあげることです。
不眠症や悪夢と比べ、一般に睡眠時驚愕症と睡眠時遊行症は不安に対する反応ではなく、むしろ(時には向精神薬、発熱、不眠症の期間に対する)身体的な反射反応か、または遺伝的体質のどちらかが原因のように思えます。
ここで必要なのは心理的予防措置より身体的予防措置です。
例えば、階段の一番上に安全柵をつけて子どもが落ちないようにしたり、子どもがぶつかる恐れのある危険物を床や部屋に置かないように注意して下さい。
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