子供の心気症
いつまでも疲れがとれない、通勤電車で激しい動悸に襲われる、緊張すると下痢をする―こんな身体症状の背景に心の病気が潜んでいることがあります。
ストレスや心の病気による身体不調や異常行動を事例で紹介。
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「ママ、気分が悪いんだ。
ほんとだよ。
おなかは痛いし、頭もぼうっとしているんだ。
今日は学校には行けないよ。
お願いだから学校には行かせないで。
本当に具合が悪いんだから……」
母親はビリーの体温を再び計ってみましたが、まったくの平熱です。
額も熱くありませんし、元気そうな様子です(顔色も悪くありません)。
では、ビリーは何を避けようとしているのでしょう?
彼の不平をどれくらい深刻に受けとめなくてはいけないのでしょう?
医者に電話すべきでしょうか?
また前回と同じように、(ビリーの通学態度のことを除き)医者はどこも悪いところはないというのでしょうか?
やりたくないことを子どもが避けようとする上の古典的な例を除いて、普通、心気症は、子どもとは結びつけられていない病気です。
しかし、テレビからインターネットまであらゆるメディアが(ハンバーガーや卵、新種の結核菌、エイズ、次々と変種が現れるインフルェンザウイルスで発病するかもしれないと伝えられている)今までまったく知られていなかった病気についての恐ろしい警告を次から次に流し続けている現代、
大人だけでなく子どもにも心気症の有病率は増えているように思えます。
自分がかかってしまうかもしれない病気について、子どもはとりとめもなく想像を膨らませていきます。
ある8歳くらいの男の子は、自分は「空気病」にかかっていると言い張りました。
空気中の汚染物質が細胞を毒素でいっぱいにしているというのです。
この病気にならないように、彼は母親に汚染された空気を濾過するマスクを買ってほしいと訴えていました。
もう一人の9歳になる女の子は、一度かかると何日も学校を休まなくてはいけない頭痛を起こすウイルスを保菌していると思い込んでいます。
そのため、お金のかかる医療検査を何度も受けました。
いずれの検査でも身体的原因はわからなかったのですが、検査を受ける度に彼女や家族の生活はひどく混乱してしまいました。
心気症は患者だけでなく、看護しなくてはならない家族にとっても厄介なものなのです。
しかし、身体の不満を決して軽く扱ってはいけません。
とれない苦痛、身体の悩み、治らない病気について不平を述べる子どもは必ず医者に検査してもらわなくてはなりません。
しかし身体的原因が特定されなかったり、診断が下せない時は、その不満は何らかのことを象徴していると考えて差し支えありません。
儀式的な行動や強迫性障害と同じように、身体についての不満の背後には、子どもがどうやって表現したらいいのかわからずにいる恐怖、怒り、不快感が隠されています。
心の奥深いところに潜む、無意識の問題が身体症状や病気についての不安に置き換えられているのです。
この置き換えがしっかり根づいてしまっているかもしれません。
子どもが想像する病気への執着は無意識のもので、大変強硬に嘘ではないと言い張るので、心気症患者を見て身体の病気ではなく心気症だと推測するのは実質的に不可能です。
なぜ心気症になる子どもとならない子どもがいるのか、理由ははっきりしていません。
確かに、兄弟や親が重病にかかっている(またはかかっていた)家庭で育った子どもは、病気になれば関心や注意を自分に向けてもらえることがわかっているので、それが自分がかかるかもしれない病気のモデルになっています。
実際、子どもは「ずっと病気の」兄弟をひどくうらやむようになり、自分が家族の中心的存在だともっと思い込めるようにするため、
「自分も病気ならいいのに」と思うのかもしれません。
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